海上自衛隊唯一の男性だけで構成さされた潜水艦乗組員にも女性を起用する報道がされました。
本格的な起用は2023年度からとなるようですが、その背景には少子化などによる「なり手」不足があります。
「なり手」に関しては海上自衛隊だけでなく、陸上自衛隊や航空自衛隊にも懸念されていることであり、今後の大きな課題となっているようです。
しかし、なぜ今まで「潜水艦」に女性乗組員がいなかったのか、不思議に思う方もいるかもしれません。
今回はなぜ「潜水艦」には女性乗組員がいなかったのかを調べてみました。
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潜水艦に女性起用へ 唯一の「男職場」消滅 なり手不足で海自 #nhk_news https://t.co/Jn1twTTNJz
— NHKニュース (@nhk_news) 2018年12月8日
潜水艦は超ブラックな職場
「潜水艦乗りはエリート」なんて話を聞いたことはありませんか?
映画などの中に出てくる「潜水艦乗り」達はみんな沈着冷静、愛国心に溢れていますよね。
では、実際はどうなのでしょうか。
まずは、業務がとにかくハード。
自衛隊の業務では労働基準法など適用外になるのは当たり前なのですが、潜水艦の場合はさらに環境が劣悪です。
一旦出港すれば、長期間自宅に帰ることはできません。
しかも、潜水艦は秘匿任務が多い。
乗組員は家族にすら作戦の開始日や期間等を教えることはできません。
家族のストレスも相当なものでしょうね。
しかし、これは護衛艦でも同じ。
厄介なのは潜水艦の中が狭いことです。
潜水艦は区画が限られていてとにかく狭い。
それはそうですよね。
潜水するときは、船内に海水を入れて船体を沈めるため、その部分は居住区にしたり、物資を置いたりできません。
また、兵装に関しても戦闘機の場合は、機体の外(例:翼の下)などにミサイルをぶら下げるなどしていますが、潜水艦の魚雷などは発射管もすべて船体の中です。
もちろん、動力は船体の中にあるわけですから、乗組員に割けるスペースは限られてきます。
トイレなどを男女別にしようとすれば、それだけでスペースが必要になり、必然的に居住区は狭くなります。
さらに潜水して行動する艦なわけですから、乗組員は日光に当たることが出来ません。
日照不足は様々の体調不良を引き起こす可能性があります。
この辺りは海上の護衛艦とは大きく異なる点です。
他にも原子力潜水艦では解消されていますが、「臭い」や「水」の問題など、体調はもとより、メンタルもボロボロになり易い職場環境であることは間違いありません。
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女性乗組員がいなかった理由
職場環境が劣悪だということはわかりましたが、メンタル耐性など女性の方が優れている面もあります。
理由はこれだけではないはずです。
では、女性乗組員の育成が避けられてきた理由は何でしょうか?
それは出産や育児などです。
特に出産に関しては深刻です。
潜水艦で出港して任務についたら妊娠が発覚した、ということがあってはなりませんから、女性乗組員の育成は避けられてきたようですね。
しかし、近年は各国海軍で女性乗組員を育成、乗艦させる動きが先進国を中心に出てきました。
アメリカ、イギリス、アルゼンチンなどではすでに女性乗組員を乗艦させています。
どこも人手不足なんですね。
女性絡みの不祥事
先進国ではすでに女性乗組員を乗艦させていると前述しましたが、それに伴い不祥事も発生するようになりました。
例えば、
2014年にはアメリカ海軍ワイオミング (原子力潜水艦)にて盗撮騒ぎが起きた
(https://ja.wikipedia.orgより引用)
2017年にはイギリス海軍のヴィジラント (原子力潜水艦)の艦長と副長が、女性士官と航行中の艦内で世界初の不適切な行為を行い解任されている
(https://ja.wikipedia.orgより引用)
など、性差による問題が発生しています。
今回、海上自衛隊では、
「おやしお型」の潜水艦3隻を来年度から順次改修して女性専用の区画を設けるなど、プライバシーの確保に配慮することにしています。
また潜水艦1隻当たりの女性隊員の数は定員のおよそ1割にあたる6人にする計画で、部隊での教育や潜水艦に乗り込んでの実習などを積んで準備を進めることにしています。
(NHK NEWS WEBより引用)
ということで一応の対策はされるようですが、どこまで功を奏するかは未知数ですね。
まとめ
海上自衛隊が潜水艦乗組員にも女性を起用すると報道されました。
本格的な取り組みは2023年からとなっています。
今まで海上自衛隊では男性のみで構成されていた潜水艦乗組員ですが、少子化などの理由から「なり手」少なくため。
今までは女性特有の出産などによる理由から潜水艦乗組員の女性起用は避けられてきましたが、苦渋の決断を迫られたようです。
どの職種でも人手不足は深刻化しているようですね。
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