現在話題となっているテレビドラマ『3年A組』。
巷では主演を務める俳優の菅田将暉さんや生徒たちの鬼気迫る演技が取り上げられていますね。
その中でも3月10日に放送された第6話はとてもタイムリーなストーリーが展開されました。
そして、実際に起こった時と比較のしやすい内容だったと思います。
今回は第6話と実例を比較してみることにしました。
ネタバレ有りですから、まだ6話を見ていない方は注意してくださいね。
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— 【公式】3年A組-今から皆さんは、人質です- (@3A10_ntv) 2019年2月10日
安直な動画投稿で思い出される都立町田総合高校暴行問題
まずは6話の内容を振り返ってみたいと思います。
今回は水泳部に在籍していた水越涼音(福原遥)にスポットを当てた回でした。
第1部の1~5話までは自殺したクラスメイト・景山澪奈(上白石萌歌)のフェイク動画作成・投稿について描かれました。
フェイク動画には同じクラスの複数の生徒と半グレ集団が関わっていて、それを依頼したのは”hunter”と称される魁皇高校の教師であることがわかりました。
第2部の第6話はそれを踏まえて、生徒を人質に取った教師・柊(菅田将暉)が、同僚の教師たちの中にいる”hunter”に名乗り出ることを要求。
そして例のごとく、20時までに名乗り出なければ「教室を爆破する」と迫ります。
“hunter”探しは『3年A組』の生徒たちの間でも行われました。
その中で怪しいとされたのは水泳部顧問の坪井先生(神尾佑)。
そして、クラスの水越涼音はかつて水泳部に在籍していましたが、坪井先生からハラスメントを受けて退部をしていました。
その内容は
「付き合っている男子生徒と遊ぶために練習を休んだ奴はいらない。」
といって、わざわざ証拠写真を水泳部員たちの前で叩きつけたというもの。
水越涼音は自分の経験と坪井先生への憎しみから告発動画をネット上に投稿しようとします。
しかし、坪井先生が水越を退部させた真の理由は水越が
「運動誘導性の致死性不整脈」
の診断を受けていたため。
坪井先生が”hunter”ではないことが判明し、投稿動画も柊によって投稿前に回収されていました。
「良かったぁ…」
と自責の念と後悔でその場にへたれこんでしまう水越ですが、これを見た柊は激怒。
へたれこんでいる水越を足蹴りして、自分のことしか考えようとしない態度を責め立てます。
さて、ここまで来て思い出すのは
「都立町田総合高校暴行問題」
ではないでしょうか。
特に動画を撮影、投稿した生徒です。
ドラマと実際の「都立町田総合高校暴行問題」は完全に一致する内容ではありません。
しかし、大まかに被るところはあるのではないでしょうか。
坪井先生は暴行を行った50代の男性教諭。
水越は撮影、投稿した生徒。
柊の代わりは、少し無理やりですがネットの書き込みといったところでしょうか。
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問題を起こした後の実際の行動
ドラマの中の水越は柊の鬼のような責め立てでこの後は態度も変わっていくのでしょう。
しかし、実際に都立町田総合高校で動画を撮影、投稿した生徒はどうだったでしょうか。
SNS上で散々言い訳をした挙句に撮影、投稿したということが原因で企業が採用を嫌がれば、差別などでその企業を訴えることができるなどと開き直っています。
事の重大さなどは微塵も感じていないことがよくわかるのではないでしょうか。
結局のところ、理解できないものには全く理解できないというのが現実のようです。
因みに企業の採用では合否の判定内容を開示することはありません。
そのため、差別などでその企業を訴えることが法律上できるといっても
「撮影、投稿したということが原因で不合格としました」
という証拠がない限り、訴えることもできないでしょう。
勿論、企業の採用担当は口が裂けてもそんなことは言いません。
仮に追い詰められたとしても適当に理由をでっちあげるだけです。
企業の採用というのは突き詰めれば
「その企業にとって利益となる人物か否か」
です。
採用する企業にとって利益とならなければすべて不合格です。
他人を陥れるために動画投稿をした人物が「利益となる人物」と企業が判断すれば合格になります。
しかし、好んでそういった人物を採用する企業は稀でしょう。
なぜならば、企業イメージの面で利益にならないからです。
企業の採用というのは元々理不尽で差別的なものなのではないでしょうか。
企業をはじめ組織というのは良い言い方をすれば「ドライ」、悪い言い方をすれば「悪どい」ものです。
昨今の企業や省庁絡みのスキャンダル報道を見れば自明の理ですよね。
よく考えるのは大人も同じ
第6話は第一部の1~5話と異なる点があります。
1~5話ではフェイク動画を作成、投稿にかかわった人物は基本的に
「自分のことしか考えようとしない態度」
でした。
しかし、6話では坪井先生にも大きな問題があります。
それはきちっと水越に本当のことを説明せず、一方的に自分にとって好ましい(「致死性不整脈」の水越に過度な運動をさせない)状況を作りあげたという点です。
さらに、ドラマですから多少の誇張はありますが、その状況を作り上げるために
「付き合っている男子生徒と遊ぶために練習を休んだ奴はいらない。」といって、証拠写真を水泳部員たちの前で叩きつける
というのはいかがなものでしょうか。
それこそ
「自分のことしか考えようとしない行動」
ということになりますよね。
「水越のことを思って」
とはしながらも、その実、水越に添うということは全くできていない。
大人としては稚拙な行動というべきでしょう。
他人に同情はしてもらえますが、水越を深く傷つけてよいという理由にはならないのではないでしょうか。
柊は水越にのみ、鬼の形相で責めたてましたが、よく考えるべきは坪井先生も同じということになります。
6話は坪井先生と水越のボタンの掛け違いというか、コミュニケーション不足が引き起こしたことは明白です。
それでも、6話の救いは坪井先生が素直に水越に頭を下げていることでしょうか。
水越が自責の念と後悔に打ちひしがれたのは、坪井先生の素直さが垣間見えたからでしょう。
しかし、実社会ではどうでしょうか。
坪井先生のような素直な謝罪はまずお目にかかることはありません。
それどころか、
「お前のためにやったんだ」
と恩着せがましく、開き直る上司が蔓延っているのが現状ではないでしょうか。
「あなたのため」
と言う人の裏側には、懐柔やマウンティング、悪意ある偽善や無責任などの心理が働いているといいます。
実社会では
「自分のことしか考えようとしない態度」
をとる大人は掃いて捨てるほどいるのです。
坪井先生の場合は
「お前のためにやった」
とは一言も言いませんでした。
代わりに
「俺にはああいうやり方しか思いつかなかった」
と言っています。
坪井先生の中に懐柔、マウンティング、悪意ある偽善の心理は働いていなかったようです。
しかし、不器用さから来た「無責任」な面は少し出ていたかなと思います。
水越は坪井先生にとって愛弟子だったはずです。
最後まで面倒を見るのが師の役目ではないでしょうか。
柊の水越に放った
「よく考えたのか!?」
というセリフは坪井先生にも向けられるべきセリフでしょうね。
では、実社会で柊の水越に放ったセリフは響くのか?
もし、響いたということなら、その人は善良な人か、まだ後戻りができる人でしょうね。
会社内でパワハラなどを当然としている連中には
「ただのきれいごと」
で涼風程度にしか感じないのではないでしょうか。
本当に
「よく考えなければならない」
のはそういう大人のはずなんですけどね。
柊は水越に言っています。
「お前たちはもう、感情に任せて過ちを犯せる歳じゃないんだよ」
これは今の問題行動をする高校生は元より、問題行動を常識みたいに認識している社会人に向けられるべきセリフですよね。
まとめ
今回は『3年A組』第6話と実際に起こったタイムリーな社会問題を比較してみました。
出演されている俳優さん達の迫真の演技や、キャストを見ると仮面ライダーに出演されている方が多いなど話題に事欠かないテレビドラマ『3年A組』。
柊は最後に3つのことを言っていました。
一つは
「本質から目を背けたらダメなんだよ!」
2つ目は
「自分の言葉に、自分の行動に責任を持てよ」
最後に
「言葉一つで簡単に命を奪えることを忘れるな!」
特に言葉は時に「良薬」になることもあります。
この6話を見て言葉を「凶器」としてではなく、「良薬」として使える人が増えれば、熱演している俳優の方々は
「役者冥利に尽きる」
のではないでしょうか。
ネット上では”hunter”探しも熱を帯びているようです。
今後の展開が楽しみですね。
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