29日から報道されている泉房穂明石市長の暴言問題。
暴言の元となった内容も報道されて、世間では賛否両論の意見が飛び交っています。
状況はさながら「都立町田総合高校体罰問題」。
しかし、気になるのは問題とされる暴言から2年経ってからの音声データ公開。
なぜこの時期の公開なのでしょうか?
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「火つけてこい!」市長が暴言に至ったワケ https://t.co/eyfhyffmik #日テレNEWS24 #ntv
— NTV NEWS24 (@news24ntv) 2019年1月29日
暴言の経緯とその内容
まずは暴言の内容を見てみましょう。
その時の全文が掲載されている記事がありました。
職員「(立ち退き対象だった建物の)オーナーの所に行ってきた。概算で提示したが、金額が不満」
市長「そんなもん6年前から分かっていること。時間は戻らんけど、この間何をしとったん。遊んでたん。意味分からんけど」
職員「金額の提示はしていない」
市長「7年間、何しとってん。ふざけんな。何もしてへんやないか7年間。平成22(2010)年から何しとってん7年間。金の提示もせんと。楽な商売じゃお前ら。あほちゃうか」
職員「すいません」
市長「すまんですむか。立ち退きさせてこい、お前らで。きょう火付けてこい。燃やしてしまえ。ふざけんな。今から建物壊してこい。損害賠償を個人で負え。安全対策でしょうが。はよせーよ。誰や、現場の責任者は」
職員「担当はおります。課長が待機していますが」
市長「上は意識もしてなかったやろ。分かって放置したわけやないでしょ。任せとっただけでしょ。何考えて仕事しとんねん。ごめんですむか、こんなもん。7年間放置して、たった1軒残ってもうて。どうする気やったん」
市長「無理に決まっとんだろ、そんなもん。お前が金積め。お前ら1人ずつ1千万円出せ。すぐ出て行ってもらえ。あほちゃうか、そんなもん。ほんま許さんから。辞表出しても許さんぞ。なめやがって。早くやっとけばとっくに終わってた話を。どないすんねん。悠長な話して。たった1軒にあと2年も3年もかけんのか。何をさぼってんねん、7年も。自分の家売れ。その金払え。現場に任せきりか。担当は何人いるの」
職員「1人しかいません」
市長「とりあえずそいつに辞めてもらえ。辞表とってこい。当たり前じゃ。7年分の給与払え。辞めたらええねん、そんな奴。辞めるだけですまんで、金出せ金も」
職員「担当は今は係長。この間係長は3回替わった」
市長「何やっとったん、みんな。何で値段の提示もしてないねん」
職員「値段は概算を年度末に提示している」
市長「概算なんか意味ない。手続きにのらへんやないか」
職員「市長申し訳ありませんが、(の分は)予算は今年度でつんでいる。前年度は予算ついていないんで、概算しか」
市長「ついてないってどういうことよ」
職員「他の地権者の分、とってますから。丸ごと全事業費は1年間でどーんと付けられない」
市長「見通しわかっとったやろ。ややこしいの後回しにして、楽な商売しやがって」
市長「ずっと座り込んで頭下げて1週間以内に取ってこい。おまえら全員で通って取ってこい、判子。おまえら自腹切って判子押してもらえ。とにかく判子ついてもらってこい。とにかく今月中に頭下げて説得して判付いてもうてください。あと1軒だけです。ここは人が死にました。角で女性が死んで、それがきっかけでこの事業は進んでいます。そんな中でぜひご協力いただきたい、と。ほんまに何のためにやっとる工事や、安全対策でしょ。あっこの角で人が巻き込まれて死んだわけでしょ。だから拡幅するんでしょ。(担当者)2人が行って難しければ、私が行きますけど。私が行って土下座でもしますわ。市民の安全のためやろ、腹立ってんのわ。何を仕事してんねん。しんどい仕事やから尊い、相手がややこしいから美しいんですよ。後回しにしてどないすんねん、一番しんどい仕事からせえよ。市民の安全のためやないか。言いたいのはそれや。そのためにしんどい仕事するんや、役所は」
(https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201901/0012019280.shtmlより引用)
(画像はhttps://ja.wikipedia.orgより引用)
これだけを見たら、
「どこの組事務所だ?」
と確かになりますよね。
「立ち退きさせてこい、お前らで。きょう火付けてこい。燃やしてしまえ。ふざけんな。今から建物壊してこい。」
はいくら何でも無茶が過ぎます。
しかし、この暴言にも話の前後があったことが後になって報道されました。
今回問題になったのは明石駅の南にある明石駅前交差点の道路拡張工事。
明石駅の南にある明石駅前交差点は事故が多発。
その中には死亡事故もあったそうです。
泉房穂市長は衆議院議員時代、犯罪被害者や無年金障がい者の救済などの人権に関する法案の成立に尽力した人権派なのだそうです。
今回も事故による被害者を出さないようにするために必死だったのでしょう。
7年も進捗に進展なしでは暴言はともかく、多少なりとも怒りを覚えるのは理解できます。
世間では賛否両論
著名人をはじめ、世間ではこの問題について賛否両論の意見が交わされています。
まずはこの暴言はやむを得ないと考えている方々のコメントです。
個人投資家で作家の山本一郎氏は
「明石市長・泉房穂氏の暴言をよく読むと、市民の命を守るための正論である件」
のなかで
「あくまで市民目線、市民の安全のためにこの拡幅工事が必要だ、用地買収を早く進めなければならないという責任感によって出た言葉だとするならば、むしろ人間臭く、明石市民のために働く市長と言えるんじゃないでしょうか。」
(https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20190129-00112928/より引用)
と記述しておられます。
その山本氏もさすがに
「確かに「燃やしてしまえ」ってのは不穏当な発言」
(https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20190129-00112928/より引用)
と最初は思われたようですが。
関連した記事のコメント欄ものぞいてみましょう。
暴言は、かなり過激で良くない事だが、重大事故の多発道路を改善するための用地買収を放置していた市の職員も問題があるんじゃないの?
神戸新聞の全文掲載を見て印象が変わった。
火をつけてこい云々はたしかに暴言だけど、長年やるべきことを放置してきた担当に「市民のために」と怒る市長を簡単に責められないのでは。
背景を知ると市長を応援したくなる。市長の発言は過激であるが、一番問題なのは7年掛けても成果を出せない職員。終いには、録音してリークするという恥ずべき行為。リークしてお金なんて貰ってないですよね?
報道機関は背景もしっかりと伝えて欲しい。
発言内容は過激すぎたけど、辞任までする必要はない。
マスコミの取り上げ方もおかしい。最初からしっかり背景も全て報道すべき。
(以上、yahooニュース該当記事コメント欄より一部を抜粋、引用)
市の職員に問題があるのではないかという意見もさることながら、マスコミの取り上げ方に言及するコメントが目につきますね。
やはりこの辺りは
「都立町田総合高校体罰問題」
が大きく影響しているようです。
逆に
「これはダメ!」
を突き付けたのは元大阪市長の橋下徹氏です。
「不特定多数相手の一般論」でも「メディアやインテリたちとの論戦」の中でのものではなく「市長という絶対的権力を持った者が部下である職員に放った言葉」であることに注目。「単なる注意・叱責のレベルを超えている。泉さんの功績がどうであれ一発アウトだ」
(yahooニュースより引用)
とツイッターでつぶやいています。
政策論や不特定多数相手の一般論で、またメディアやインテリたちとの論戦で過激なことを言ったわけではない。市長という絶対的権力を持った者が部下である職員に放った言葉だ。単なる注意・叱責のレベルを超えている。泉さんの功績がどうであれ一発アウトだ。人権派よ、いつものように厳しく行けよ。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) 2019年1月29日
ネットではどうでしょうか。
先ほどと同じ記事のコメント欄をのぞいてみましょう。
問題は、2つある。この市長の問題管理責任と問題解決にパワーハラスメントを使用したという事だ。
7年間放置していたのは現場の管理者もひどいと思うが、本市長は2011年5月に就任しているのにこれまでレヴューをして怠っていたという事になる。なぜこの問題を早期に対処していなかったのか?コメントでは、容認の声が多いが、最終管理責任のあるこの人が7年間放置していたという事にはあまりフォーカスられていない。
また、行政の責任者でもあるこの人が、暴言を使ってのパワーハラスメントで7年間放置した問題を解決をしようとした管理手法にも問題がある。
本来、関係が良好であれば、ある程度の叱咤激励は、現場が理解するものだが、このタイミングでこれを出されたのは、常日頃から理不尽なパワハラが常態化していたのではないかと考える。
これは市長の責任転嫁。民間企業の経営者で大プロジェクトの進捗状況が放置されていたのを今頃になって発見して部下を叱責する社長がいたとしたらただの無能。
民間の社長じゃありえませんよ。
些末な案件じゃなくて多額の税金をつぎ込んだ大きい案件だから絶えず目を通すのは義務です。それこそ頻繁に状況把握に努める案件。もし株主総会があれば「部下が7年も放置」なんて言い訳は通じません。
その時点で無能経営者。野球の監督でも無能だ。
市長に他にも功績があるというけれど、よく考えてみるべき。
このレベルの重大案件の進捗の確認を放置してたんだから他も部下に丸投げで手柄は自分、責任は部下の可能性を疑うべき。
だいたい、すぐそこにいる部下に確認できないの?
部下呼んで確認するのに市庁舎の中を行き来するのに何年もかかるの?
元NHK→弁護士→国会議員 って経歴の時点で民間企業の感覚は無いですね。
背景に何があろうと、この暴言はあまりにもお粗末です。
マネジャーとはひとつの専門職であり、基本的な方法論と経験が必要です。
スポーツで言うと経験者と素人の違いのようなものであり、市長の対応は素人的です。
才能や人生経験は私などよりもずっとあるだろうに、残念だなあと思います。
日本に限ったことではないですが、それなりの組織の管理職でもこういう人はまだ一定数います。では、このケースで正しいやり方とは?
まずは職員は人間なので怠慢や判断ミスを犯してしまうリスクを織り込んで、活動計画や人事評価でマネジメントするというシンプルなことです。
途中で計画通りに行っていないなら活動を改善する、職員個人に対しては人事評価項目に盛り込み相応の評価をするというのが組織としてできることです。
逆にそれ以上のことをする権利などありません。
トップに立つ人間としてあの暴言はちょっと酷いなとは感じるかな。
でもマスコミはパワハラにばかりフォーカスを当てるが問題はそれだけじゃないと思うよ。
例えば、市長お怒りの原因となった、なんで用地買収を放置し続けたの?と言う点。担当が放置してしまうような管理体制になっていること自体が問題では?指揮命令系統はどうなっているの?内部のガバナンス体制に問題があると思うし、マスコミはそこも指摘するべきでは。
(以上、yahooニュース該当記事コメント欄より一部を抜粋、引用)
「これはダメ!」とした方達は市長の暴言もさることながら、市の体制や組織としてのあり方に問題があると考えておられるようですね。
もちろんそれを調整、変更するのは市長の仕事の一つでもあるでしょう。
実は明石市役所でパワハラ事件が公になるのは今回だけではありません。
昨年も50代の男性(元)部長が部下の男性職員の足を蹴るなどのパワハラ行為をして移動を命じられています。
また、泉房穂市長は
「日常的に厳しい言葉はあった」
と暴言を受けた幹部が証言をしています。
これらの件から見ると、明石市役所では日常的にこういったことが起こっているのかもしれませんね。
なぜこの時期の公開?
ネットなどで注目されていることがもう一点あります。
それは、
「なぜ今になって録音データが公開されたのか?」
です。
憶測はいくつか飛び交っているようですね。
例えば、
「今年四月の選挙に立候補する相手陣営の妨害」
などが噂されています。
重要なことは
「今回暴言を受けた職員はレコーダーなどで録音をしていなかった」
という点です。
市長室に盗聴器などが仕掛けられていて、録音されてしまったものかもしれませんね。
では、
誰が仕掛けたの?
という話になります。
気になったのは泉房穂市長が
「日常的に厳しい言葉はあった」
人物だという点です。
日常的だったということは他の職員にも同じような暴言を吐いていた可能性がありますね。
次回の選挙では泉市長に落選、あるいは不出馬をしてほしいと考える職員がいてもおかしくなはいでしょう。
今回、市長を擁護する方々は市長のいうことは「正論」であると位置づける方もいらっしゃいました。
「正論」には違いないと思いますが、「正論」は時に「凶器」となります。
「正論」では片づけられない内容は世の中に数多く存在します。
「正論」では片づけられない内容の中に身を置いて仕事などをしている側からすれば、「正論」が「凶器」となる瞬間に遭遇することは少なくありません。
「正論」を振りかざせばどんなことでも「許される」という認識は、時として他人を必要以上に傷つけることを覚えておいて損はないと思います。
政治的なものよりも案外個人的な理由から・・・ということも視野に入れておいた方がよいかもしれませんね。
まとめ
泉房穂明石市長の暴言問題はあとから出てくる内容により、「都立町田総合高校体罰問題」同様の展開になってきました。
世間では「都立町田総合高校体罰問題」と同じく賛否両論の意見が飛び交っています。
気になる点としては明石市役所が去年もパワハラによる問題を起こしていることです。
明石市役所では暴言が常態化しているのかもしれません。
また、2年も前の音声データが今頃になって出てきたのは、泉市長の選挙戦不出馬か落選を意識した可能性は高いですが、相手候補によるものとは断言できません。
音声データの録音主は案外、泉市長のすぐそばにいる人物かもしれませんね。
今回の件で泉房穂明石市長は辞職せずに、4月の選挙で市民の審判を仰ぐとしています。
明石市民は選挙においてどのような審判を下すのでしょうか。
4月の明石市長選は注目度の高い選挙となりそうです。
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