事件発生から7年。
「いじめ防止対策推進法」のきっかけとなった「大津市中2いじめ自殺事件」。
大津地裁は元同級生2人に約3700万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
事件前後の学校と教育委員会による数々の隠蔽が発覚、問題視されて大きく報道されたこの事件。
7年得長い月日を経てようやく答えが出たようです。
しかし、当時中学生だった生徒はすでに成人している月日の長さ。
判決までにかかる時間が長すぎませんか?
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大津いじめ訴訟、元同級生2人に賠償命令 大津地裁https://t.co/ZvODo78wnP
→裁判長は3人のうち2人に対し、いじめと自殺の因果関係を認め、計約3700万円の賠償を命じた
→いじめ防止対策推進法成立の契機となった自殺問題は、発生から7年以上を経て大きな節目を迎えた— 産経ニュース (@Sankei_news) 2019年2月19日
事件の概要
7年前の事件ということもあり、簡単に概要を振り返ってみたいと思います。
大津市中2いじめ自殺事件とは
「2011年10月11日に滋賀県大津市内の中学校(皇子山中学校)で当時2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺するに至った」
という事件です。
その内容は凄まじく、自殺の練習をさせたり、体育館で男子生徒の手足を鉢巻きで縛り、口を粘着テープで塞ぐなど「いじめ」という言葉では括れない内容であることが発覚しました。
しかし、自殺した生徒の遺族にはそれ以上に厳しい状況が待ち構えていました。
加害者3人は元より、学校や市教育委員会、果ては警察まで事件に背を向ける対応を取り続けていたのです。
加害者生徒達は
「遊びの延長で、いじめとは思わなかった」
と一貫して主張。
学校や市教育委員会は
「担任を含めて誰もいじめの事態に気付いていなかった、知らなかった」
「自殺の原因はいじめではなく家庭環境が問題」
とし、隠蔽工作まで実施。
警察は遺族の被害届を3度にわたり
「被害者本人が自殺しており存在していない」
と言う理由で受理しませんでした。
後に事件が大きく報道されて、警察は被害届の不受理を一転、加害者3人に対して家宅捜索をはじめ、学校や市教育委員会への強制捜査を実施します。
その過程で学校や市教育委員会の隠蔽体質が明るみに出て、学校で5人、教育委員会で2人が処分されました。
滋賀県警は刑事事件として2012年12月27日に加害者3人のうち2人を書類送検。
残る1人は当時は刑事罰の対象とならない13歳だったため、暴行などの非行事実で児童相談所に送致しました。
滋賀県警は関連する27件の犯罪行為のうち、暴行、器物損壊、窃盗の3容疑、計13件について立件しています。
しかし、少年事件を理由に詳細は明らかにしていません。
また、
「いじめはあった」
としていながらも、自殺との因果関係については結論が出なかったとしています。
今回の判決の内容
今回の裁判の報道を確認してみましょう。
平成23年に大津市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺したのはいじめが原因だとして、遺族が元同級生3人と保護者に慰謝料など計約3800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、大津地裁であった。西岡繁靖裁判長は3人のうち2人に対し、いじめと自殺の因果関係を認め、計約3700万円の賠償を命じた。いじめ防止対策推進法成立の契機となった自殺問題は、発生から7年以上を経て大きな節目を迎えた。
遺族側は自殺直前にいじめがエスカレートしていった経緯や行為の苛烈さなどから、「男子生徒に加えられた激しいいじめは自殺につながるものだった」と主張。元同級生側は「遊びのつもりだった」と反論し、いじめの存在や自殺との因果関係を否認していた。
遺族は24年2月、大津市と元同級生3人、保護者を相手取り、計約7720万円の損害賠償を求めて提訴。市は第三者委員会がいじめと自殺の因果関係を指摘する調査報告書を基に、「男子生徒がいじめを受けており、自殺に至る可能性のある精神的苦痛を受けていた」とする地裁の和解勧告を受け入れ、27年3月に和解が成立。元同級生らとの訴訟は分離されて続いていた。
(https://www.sankei.com/affairs/news/190219/afr1902190021-n1.htmlより引用)
賠償が下されたのは3人のうち二人。
残りの一人ですが、
もう一人の同級生について判決は、「一体となって関与していたとまではいえない」として、賠償を命じなかった。
(yahooニュースより引用)
ということです。
ネット上では判決に対しておおむね好意的な意見がコメントされています。
とは言え、「いじめ」と括ってはいるものの実態は拷問。
これで一人当たり約1800万円の賠償はあまりにも軽すぎるような気がします。
しかし、ご遺族が求めているものは金額ではなく、別のもの(加害者や当時の担任などの学校関係者からの謝罪など)でしょう。
その面から見れば、意義のある判決内容であったと思われます。
7年の月日は長すぎる
今回の裁判で最も気になるのは、判決内容もさることながら、
「判決までにかかる時間の長さ」
ではないでしょうか。
今回の事件は大きく報道されていることもあり、簡単に風化はしない事件の1つだとは思います。
また、学校や市教育委員会の隠蔽工作などもあり、審議も難航したことでしょう。
しかし、この7年間のご遺族の心中を察すると、あまりにも残酷な月日ではないでしょうか。
裁判にかかる費用のことだけを言っているわけではありません。
この7年間で加害者は成人し、普通に生活もしているという現実は耐え難いものではなかったでしょうか。
しかも、まだ地裁の判決です。
加害者が控訴すれば、まだまだ先へと続くことになります。
確かに裁判官一人が割り当てられている事件数は膨大だと聞きます。
しかし、これではご遺族としては存命のうちにこの事件の真の決着がつけられるのか不安にならざる得ないでしょう。
もう少し速やかに事が運ぶようになることを願って止みません。
まとめ
大津市中2いじめ自殺事件で大津地裁が元同級生2人に約3700万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
大津地裁は
「自殺はいじめが原因」
と判断。
事件は一つの節目を迎えました。
しかし、加害者側は裁判でも一貫して
「遊びの延長で、いじめとは思わなかった」
と主張。
反省の色は微塵も感じられない様相です。
7年かかってようやく地裁の判決。
加害者側の控訴は十分に考えられます。
そして、当時の学校関係者(特に担任教諭)からはご遺族に対して謝罪の言葉は出ていません。
この事件の真の決着はまだまだ先になりそうです。
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