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パワハラ問題、企業は防止措置義務化へ!覚えておくべき判断基準に効果はあるのか?

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3月8日、政府がパワハラ(パワーハラスメント)を防ぐ措置を企業に義務づける法案を閣議決定しました。

仮に今通常国会で成立すれば、企業は相談窓口などを設ける必要が出てきます。

パワハラ(パワーハラスメント)とは簡単に言えば、

職場で強い立場にある人が嫌がらせすること

をさします。

パワハラは人材流失や使途のへの意欲低下につながるだけでなく、時にはパワハラ被害者が自殺等に追い込まれるなど生命に危険が及ぶ行為です。

それにもかかわらず、日本は規制のない「ハラスメント後進国」。

果たして、防止措置を企業に義務化して、その効力に期待はできるのでしょうか?

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日本もやっと法制化?

記事を確認してみましょう。

職場で強い立場にある人が嫌がらせをするパワーハラスメント(パワハラ)への対応を企業が迫られている。政府は8日、パワハラを防ぐ措置を企業に義務づける法案を閣議決定した。今の通常国会で成立すれば、来春には相談窓口などを設ける必要がある。パワハラは社員の人材流出や仕事への意欲低下につながるため、企業は対応を急いでいる。

政府はパワハラの防止措置を労働施策総合推進法の改正案に盛り込んだ。パワハラは上司などの優越的な関係を背景に、業務上必要な範囲を超えた言動で働く環境を害することと明記した。企業には相談窓口やパワハラをした社員の処分内容を就業規則に設けるよう義務づける。相談した人のプライバシーの保護なども必要になる見込みだ。

法律で対策が義務となるパワハラは具体的にどのようなものか。厚生労働省は法律の成立後につくる指針で示す。ベースになるのが、同省がまとめたパワハラを巡る6つの行為類型だ。

まずは暴行・傷害、脅迫・ひどい暴言など精神的な攻撃、仲間外し・無視の3つ。これらは通常、業務に必要とは考えられない。裁判では暴言など精神的な攻撃型のパワハラを認定していることが多い。具体的には「給料が高すぎる」や「あほでも知っている」といった暴言や、あいさつしても返事をしないといった行為だ。

判断が難しいのは業務の過大要求、業務の過小要求、私的なことへの過度な立ち入りという残り3つの行為だ。裁判で認定されたものには、先輩が他の従業員の仕事を後輩に押しつけ、徹夜で仕事をさせた事例がある。過小業務は、接触事故を起こしたバス運転手に、営業所長が真夏に期限を示さず除草作業を命じたという例がある。

経済団体など企業側はパワハラの概念が広くなると上司が萎縮し、指導ができなくなるとして審議会などで厚労省に慎重な対応を求めてきた。

だが裁判ではパワハラをした従業員だけでなく、企業も訴えられて問題を放置した責任を問われたケースも少なくない。2017年度の労働局への相談では「いじめ・嫌がらせ」に関するものが7万2000件を超える。どの企業にとっても対応は急務だ。

厚労省によると、既に相談窓口を設置している企業は7割を超える。ただ設置だけにとどまり、未然の防止への実効性が低い企業も少なくない。大手を中心により積極的にパワハラを未然に防ごうという機運は高まっている。

電通は違法残業事件を機に、17~18年にパワハラを含むハラスメント防止の施策を20以上実施した。ハラスメントの基礎知識に関する冊子を製作して全社員に配布したほか、職務階層別に必要な知識を伝える研修も実施した。ハラスメントに対する意識調査や理解度テストなども実施した。

社員の心身の健康に関して、家族からの相談も受け付ける「ファミリーライン」を設置するなど、社員の異変の早期発見に努める。山本敏博社長は「社員の心身の健康が経営の根幹だ」と話す。

カルソニックカンセイは毎年職場ごとに、パワハラやセクハラなどで問題提起と解決方法を出した優秀者を表彰している。サービス残業などで残業を過少申告をさせないシステムを構築するなど、現場が主体的に動く対策をとる。「パワハラ対策法案など新たな法令改正には、迅速に対応する」と新たな制度設計にも取り組む。

人材サービスのエン・ジャパンが2月にまとめた調査によると、35歳以上のミドル層で8割以上がパワハラを受け、このうち35%が結果的に「退職した」と回答した。パワハラが人材流出の要因になっていることが浮かび上がった。

同社の「人事のミカタ」の手塚伸弥編集長は「パワハラ発覚が氷山の一角になっている状態では、改善は見込めない。積極的に被害者を発見する取り組みや、加害者になりやすい管理職らへの教育に引き続き取り組むべきだ」と指摘する。

(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42189010Y9A300C1EA2000/より引用)

一番の問題は

ハラスメントとは何か?

ということが曖昧で、加害者側にとって言い逃れしやすい状況が存在することです。

これは企業の中だけでなく、親子の間の「しつけ」、学校などでも「指導」や「いじり」にも言えることです。

「ハラスメント」の定義については加害者側との「イタチごっこ」になり易い部分でもあります。

しかし、まずは加害者側が言い逃れできない状況を作るのは必須なのではないでしょうか。

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3つの判断基準と6類型


今回の各議案に先駆けて、政府は17年3月に「働き方改革実行計画」にパワハラ防止策を策定。

厚生労働省は労使関係者らでつくる検討会を設立していました。

3月にまとめた報告書では、パワハラの判断基準は3つ。

・優越的な関係に基づいてなされる

・業務の適正な範囲を超えている

・身体的・精神的な苦痛を与える

と明示しています。

この3つの判断基準に下記の6類型をかけ合わせてパワハラの是非を問います。

・身体的攻撃

・精神的攻撃

・人間関係からの切り離し

・過大な要求

・過小な要求

・個の侵害

(画像はhttps://www.nikkei.com/より引用)
正社員の例は記事中にもありますので、ここではさらに立場の弱い派遣社員などの非正規労働者を例にとってみます。

例1
仕事がないにもかかわらず、派遣先会社の社員に残業を命じられ、断ると

「用事なんかないんでしょ!それなら残業してほしいんです!残業しないなら勤怠シートのサインはしません」

と言われた。

上記事例は「優越的な関係に基づいてなされる」、「身体的・精神的な苦痛を与える」と「個の侵害」に当たる可能性があります。

そして、

「残業をしないなら、勤怠シートにサインをしない」

というのは、出勤そのものを否定し給料の支払いをしないことにあたり、既に発生している賃金を人質にとっていると見なされる可能性があります。

この場合は、「強要罪」も視野に入れておく必要があります。

例2
管理職が作業中にもかかわらず、使用端末を無断使用。

使用端末をそのまま放置した上に、抗議すると

「自分の方が重要な仕事をしている」

と主張し、業務を複数回妨げた。

この場合は、「優越的な関係に基づいてなされる」と「精神的攻撃」に当たる可能性があります。

理由としては

「自分の方が重要な仕事をしている=あなたの仕事内容は取るに足らない」

という意味に取れることから侮辱的発言となる可能性があるためです。

例3
他部署より応援要請があり、業務の手伝いを命じられたが、所用により作業完了まで居ることが出来ず、残業30分を超えた時点でその部署の担当者に了承を経て帰宅。

翌日、自分の部署の正社員から

「なぜ作業終了までいなかったんですか?もし問題が起こった場合はすべてあなたの責任です!責任をとってください!」

を言われた。

他部門の内容に対して責任問題が発生する理由を問いただすと

「ローカルルールでそうなっている」

と返答された。

この場合は「優越的な関係に基づいてなされる」と「過大な要求」にあたる可能性があります。

理由としては、そもそも他部署の業務における責任問題を違う部署の派遣社員に要求することはできません。

この時点で「過大な要求」とともに契約違反を疑う必要があります。

しかも、それを正社員という立場を利用して迫るわけですから「優越的な関係に基づいてなされる」と判断される可能性があります。

法制化しても形骸化する可能性がある

政府がパワハラ問題に取り組む姿勢を示しても、経済団体など企業側はあまり乗り気ではないようです。

最悪の場合、内部通報によって企業や労働組合が敵に回って報復される恐れもあります。

具体例としてはオリンパスの濱田正晴氏の例が挙げられると思います。

濱田氏の場合は、当時の上司の不正競争防止法違反の疑いを会社に内部通報。

しかし、それが仇となり会社側が通報した情報を上司と人事部長などに漏洩。

そこから会社ぐるみの嫌がらせが濱田氏を襲います。

労働組合に掛け合っても機能しないということもあり、孤独な闘いを強いられることとなりました。

いじめ問題で取り上げられる「学校の対応」は決して学校特有のものではありません。

学校で起きていることは一般の企業でも日常茶飯事に起きていることです。

そこから鑑みて、学校がいじめの加害者生徒をかばって、被害者生徒を排除するように、企業でもハラスメント加害者をかばって、ハラスメント被害者を排除することは容易に想像できます。

そのため、ハラスメント被害に遭った時の駆け込み寺を用意しておく必要性は法制化されても続くのではないでしょうか。

特に派遣社員などの非正規雇用は必須といってもよいかもしれません。

まとめ

政府がパワハラ(パワーハラスメント)を防ぐ措置を企業に義務づける法案を閣議決定しました。

しかし、経済団体など企業側は相変わらず難色を示しています。

海外と比べると規制のない日本は「ハラスメント後進国」。

現行の法律は「加害者保護」のために存在しているような状態です。

また、企業側がハラスメント加害者を擁護して、被害者を排除するという事例も過去に存在します。

仮に法制化されたとしても、かなり厳しい罰則を企業側に課さない限りは形骸化する恐れがありますね。

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