間接被害でよく知られているのは喫煙による「受動喫煙」ですが、パワハラにも間接被害が出ているという報道されています。
今年になってスポーツ界をはじめとして注目度が高まっているパワハラ。
パワハラの直接的な被害者にならなくても、被害を受けるというのはどういうことなのでしょうか。
その原因を調べてみました。
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パワハラ「間接被害」が深刻 https://t.co/5UogYuNKeQ #いじめ #パワハラ #ハラスメント #職場
— gooニュース (@goonewsedit) 2018年9月25日
職場のパワハラ事情はかなり深刻
記事によりますと
同じ職場で加害者の言動を見聞きしている人も体調を崩す「間接被害」が新たな問題として浮上している。毎日のようにパワハラの現場を目撃することで心身の不調を訴え、関係機関に相談するケースも目立つという。間接被害に対する会社側の責任が認定される判決も出ており、関係者は「パワハラは加害者と被害者だけの問題ではない」と訴えている。
(Yahooニュースより引用)
とのことです。
そして、すでに会社側の責任が認定される判決まで出ています。
これは雇う側、雇われる側の双方に被害が出ている状態ですね。
記事には具体的な症例も出ていました。
兵庫県内で働く女性(28)は昨年から、頭痛や吐き気、不眠などに悩まされるようになった。複数の病院にかかり、パワハラを間近で見たり聞いたりすることによる自律神経失調症と診断された
(Yahooニュースより引用)
体調を崩す3カ月前から在籍した部署では、50代の上司が30代の男性に対して日常的にパワハラを繰り返していた。男性がミスをするたびに「給料を半分にする」などと暴言を吐き、机や椅子を蹴ることも。女性は「次の標的になるのが怖くて、見て見ぬふりをしていた。その罪悪感も強かった」
(Yahooニュースより引用)
半年後に男性がうつ病を発症して会社に相談し、部長は処分され異動になった。だが、女性は今も大きな声や音を聞くと不調になりがちで、通院を続ける。
(Yahooニュースより引用)
こちらの女性の場合はまるで軽めのPTSD(心的外傷後ストレス障害)のような症状ですね。
前述した会社側の責任が認定された判決は
今年5月、女性4人が男性役員から退職を強いられたとして勤務先を訴えた訴訟で、最高裁は会社側の上告を退け、間接被害を認める判決が確定した。役員は女性係長2人に対し、50代の年齢を理由に退職を求めるような発言を重ねていたが、それを見聞きしていた同年代の部下2人も「間接的に退職を強いられた」と認定された。
(Yahooニュースより引用)
というものです。
記事の内容からだけの判断になりますが、見聞きしただけで退職を迫られるというのはとばっちりもいいところですよね。
体調不良の原因は何かを考えてみた
記事の中では被害者の一人が
「見て見ぬふりをしていた。その罪悪感も強かった」
と語っていて、罪悪感から来た不調の印象を与えますが、実際にそうなのでしょうか?
体調不良を訴えた二人の女性の場合、パワハラの加害者である上司がパワハラの被害者に対して
・大声を出して怒る
・ミスをするたびに「給料を半分にする」などと暴言を吐く
・机や椅子を蹴る
という行為を繰り返しています。
これに対して周りが感じることはやはり
「身の危険」
ではないでしょうか。
例えば、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を例にするならば、PTSDの発症原因は
命の安全が脅かされるような出来事(戦争、天災、事故、犯罪、虐待など)によって強い精神的衝撃を受けることが原因で、著しい苦痛や、生活機能の障害をもたらしているストレス障害
(https://ja.wikipedia.org/より引用)
であることから、いずれ自分が標的になるのではないかという恐怖感や危機感がトリガーになる可能性は極めて高いと思います。
罪悪感に関しても
罪悪感の本質とは、集団から排除される危険を感じたときに生じる、本能的な生命の危機感の表出である
(https://ja.wikipedia.org/より引用)
ということから、「身(生命)の危険」を感じた時に湧き出る自己意識感情です。
そのため、罪悪感が強くなりすぎることはパワハラの現場が実際の危険以上に感じやすくなってしまう恐れがあります。
罪悪感は「身の危険」を感じやすくする増幅器のような働きをしている可能性がありますね。
もちろん、こういう状況に陥らないタイプもいます。
例えば、反社会性パーソナリティ障害のような罪悪感そのものを感じないタイプには無縁のものでしょう。
また、自己愛性パーソナリティ障害のように罪悪感を抱く要素を責任転嫁するようなタイプは影響を受けにくいでしょう。
もっとも、パワハラやモラハラをするタイプは反社会的だったり、自己愛の極端に強いタイプであることも留意しておく必要はありますが。
このことから、パワハラはインフルエンザや風邪と同じように早期発見、早期対処が必要不可欠なようですね。
まとめ
今回はパワハラの間接被害とその原因について記事を書いてみました。
パワハラは受動禁煙やインフルエンザと同じように、当事者だけでなく周りにも害をなすようです。
原因はパワハラ加害者によるパワハラ行為が被害者だけでなく、周りにいる人たちにまで心理的ダメージを及ぼす可能性が考えられます。
インフルエンザは予防接種を受けたり、投薬をすることである程度短時間に回復をはかることができます。
しかし、パワハラで受けたダメージは場合により回復までに長い時間をかける必要が出てきます。
また、判例では企業側に責任が認定される判決も出ていることから、パワハラ加害者は雇う側にもダメージを与える可能性があります。
これからは雇われる側だけでなく、雇う側もパワハラ加害者が損害を作りだすことを心に留めておいた方が良さそうです。
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