体操女子のリオデジャネイロ五輪代表、宮川紗江選手(18)を巡る暴力&パワハラ問題が泥沼化しています。
宮川選手がパワハラを受けたとされている塚原光男(70)、千恵子(71)夫妻の宮川選手へ直接謝罪の申し出を宮川選手側が拒否したことが報道されました。
現在、パワハラ問題はアマチュアスポーツ界での報道が頻繁に取り上げられていますが、決して対岸の火事ではありません。
普通の企業に勤めているビジネスパーソンや派遣社員などは日常的にさらされている問題だと思います。
今回は宮川選手の例を取って、パワハラ問題が起こって、加害者側が謝罪を申し出た場合の注意点を考えてみました。
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【宮川 塚原夫妻の直接謝罪拒否】https://t.co/BjbAyhijp7
体操の暴力&パワハラ問題で、宮川紗江がパワハラを受けたとしている塚原光男氏と千恵子氏からの直接謝罪を拒否したことが分かった。宮川の代理人弁護士が塚原夫妻側にも伝えたという。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2018年9月5日
宮川選手を襲った塚原夫妻のパワハラ
まずは一連のパワハラ問題の簡単なおさらいからいきましょう。
ことの発端は宮川選手の専属である速見佑斗コーチが宮川選手に暴力行為があったされて、日本体操協会から無期限の登録抹消処分とされたことでした。
これに対して宮川選手が記者会見を開くとになります。
そして、この会見の中で体操協会の塚原千恵子女子強化本部長にパワハラを受けたと告発。
パワハラの内容としては
速見氏に処分が下る前の7月15日、宮川は塚原夫妻に味の素ナショナルトレセン(NTC)内の小部屋に呼ばれた。
「(速見氏に)暴力の話が出ている。あのコーチはダメ。だからあなたは伸びない。私なら速見の100倍教えられる」と詰問された宮川は、暴力行為の証言を求められたが拒否。「先生を家族も信頼して一緒にやっていく」と答えると、「家族でどうかしている、宗教みたいだと高圧的に言われた。家族もコーチも否定され、おかしくなってしまいそうだった」と明かした。
塚原本部長に対し、最初に恐怖を感じたのは2年前の冬。日本協会の「2020東京五輪特別強化選手」制度がスタートしたが、強化方針が具体的でないという理由で宮川は名を連ねず。すると16年12月19日、同強化本部長から宮川の自宅に電話があり、「2020に申し込みをしないと協会として協力できなくなる。五輪にも出られなくなるわよ」と言われた。脅迫に近い内容のため、コーチや家族と相談し、日付と内容をメモした。
また、「2020――」に入らなかったことで、NTCの使用も制限された。今年6月に名を連ねたが、今は脱退を強く要望。塚原夫妻に関係が深い朝日生命への移籍を、関係者から勧められたこともあったという。宮川は「最初から速見コーチの過去の暴力を理由に、速見コーチを排除して朝日生命に入れる目的なんだと確信に変わった」とし、「権力を使った暴力だと感じる。これらのパワハラの事実を認めていただきたいと切に願います」と話した。
(Yahooニュースより引用)
これに対して塚原夫妻は当初、塚原光男副会長が「全部うそ」と全面否定、塚原千恵子女子強化本部長(71)が「これでは言ったもん勝ちじゃない! もう黙ってないわよ」と語気を強めて憤りをあらわにした。
次いで報道各社にFAXで5枚の書面の見解を発表。
宮川との会話の録音があるとし「お聴き頂ければ、私が決して高圧的な態度ではないということはお分かり頂ける」
(Yahooニュースより引用)
と対決ともとれる内容でした。
塚原夫妻からの謝罪謝罪の申し入れ
それが一変、謝罪の申し出と変わってしまいます。
宮川紗江選手に対する謝罪
前回の私たちのプレスリリースにより、一部報道では、私たちの「反撃」「反論」や「徹底抗戦」という報道がされました。しかしながら、信じて頂けないかもしれませんが、私たちには、そういった意図は一切ございません。
もっとも、私たちのプレスリリースにより、さらに宮川紗江選手を傷つけ、誤解を与え、恐怖心を抱かせ、不信感、不快感を与えてしまったのであれば、全ては私たちの責任であり、本当に申し訳なく思っております。私たちもプレスリリース後に、宮川紗江選手がテレビ番組に出演し、発言をされている姿を拝見しておりましたが、私たちの配慮不足や自分たちの名誉を少しでも回復したいという私たちの勝手な考え等のため、さらに宮川紗江選手を深く傷つけたと知り、大変申し訳なく思っております。
私たちは、体操協会の副会長及び強化本部長という立場であり、一人一人の選手に敬意を持たなければならない立場にあります。また、何よりも「一人の大人」として、私たちの落ち度も認め、私たちの正当性を訴えることよりもまずは宮川紗江選手に誠実に謝罪し、向き合うことが大事であるにもかかわらず、宮川紗江選手を深く傷つけてしまったことに対して、重ねてお詫び申し上げます。
また、多くの番組において、司会者の方々やコメンテーターの方々から私たちのプレスリリースに対するご意見等をいただいておりますが、私たちはそのようなご意見等も全て真摯に受け止めております。
ところで、一部の報道にありますとおり、塚原千恵子の「黙ってないわ」など、塚原光男の「全部うそ」などの私たちの感情に任せた自分勝手な発言等により、私たちが宮川紗江選手と対立姿勢にあるとの印象を与えてしまいました。このような発言につきましても宮川紗江選手や宮川紗江選手のご家族に対して、恐怖心や不快感等を与えてしまったと思っており、本当に申し訳なく思っております。
今回の一連の報道につきましては、その過程はどうであれ、私たちの落ち度が大きな原因と考えております。そして、私たちは、今回の一連の件につきまして、宮川紗江選手に対して直接謝罪をさせて頂きたいと考えております。もちろん、宮川紗江選手は私たちに会いたくないかもしれません。まだ18歳という年齢であり、さらに将来を期待されている宮川紗江選手に対して、私たち二人の大人が与えてしまった影響は計り知れず、宮川紗江選手を深く傷つけてしまったことは許されるものではないと思っております。それは、取り返しのつかないことかもしれません。
しかしながら、もし、私たちに、直接謝罪をお伝えできる機会を頂けるのであれば、宮川紗江選手に対して直接謝罪をさせて頂ければと思っております。
そして、今後、私たちは、前回のプレスリリースでお伝えしたとおり、私たちの宮川紗江選手に対するハラスメント問題につきましては、日本体操協会が立ち上げる第三者委員会の調査活動に全面的に協力し、その判断を待ちたいと思っております。
そして、このプレスリリースの内容に関しましても、私たちの配慮や想像力不足等により、さらに宮川紗江選手を傷つけてしまうかもしれず、また多くのご批判又は厳しいご意見、そしてまだまだご納得いただけないこともあるかと思いますが、その点につきましても真摯に受け止めたいと思っております。
加えて、今年の10月25日から11月3日までカタール・ドーハで開催される、東京オリンピックの出場権のかかった第48回世界体操競技選手権大会を控え、さらには、その大会に向けた9月24日から9月30日まで及び10月7日から10月13日まで の2回の合宿を控え、現在、とても大事な時期にある日本代表候補選手の皆様に対し、この度の一連の問題で、落ち着いて練習できない状況を招き多大なるご迷惑をおかけしていることについて、深くお詫び申し上げます。
最後に、国民の皆様に対しても、2020年の東京オリンピックを控え、多くのスポーツ選手や関係者たちが頑張っており、日本全体で盛り上げていかなければならないこの時期に私たちが未熟であったため、このような騒ぎになってしまったことを深くお詫び申し上げます。私たちが言う立場ではないかもしれませんが、どうか日本のスポーツ、日本の体操、そして日本の誇りといえる各選手を応援して頂ければと思っております。
以上
塚原光男
塚原千恵子
(http://news.livedoor.com/article/detail/15247813/より引用)
宮川選手サイドが直接謝罪を拒否した3つの理由
これに対して宮川選手サイドは
「誠意が感じられない」
「パワハラを認めていない」
「塚原夫妻が協会に残る可能性がある」
という理由から謝罪拒否を表明しました。
宮川の代理人の山口政貴弁護士(43)によると直接謝罪を受け入れない理由を「誠意が感じられない」「パワハラを認めていない」「塚原夫妻が協会に残る可能性がある」とあげていることを報じた。
(Yahooニュースより引用)
まず「誠意が感じられない」という点ですが、
「何を謝罪するのか」
が明確ではありませんね。
宮川選手に対して
「傷つけ、誤解を与え、恐怖心を抱かせ、不信感、不快感を与えてしまった」
ことを謝罪したいというならば、ちょっと的が外れているような気がします。
宮川選手が必要としているのは「自身が行ったパワハラを認める」という行為です。
しかし、この直接謝罪の申し出は
「傷つけ、誤解を与え、恐怖心を抱かせ、不信感、不快感を与えてしまった」
「配慮不足や自分たちの名誉を少しでも回復したいという私たちの勝手な考え」
に対して謝罪したいということであって、パワハラという行為についての謝罪ではありません。
このことから
「パワハラを認めていない」という理由で拒否されても仕方がないことですね。
企業や学校などのパワハラ問題でもこの点ははっきりさせておく必要があります。
これはパワハラの加害者に謝罪の内容をすり替えさせないためです。
簡単に言えば、加害者に
「仕方がないから謝ってやった」
といわせないためです。
肝心な場面になって証言をひっくり返されないようにするための予防対策でもありますね。
そして最後の
「塚原夫妻が協会に残る可能性がある」
ですが、これには賛否両論あるようです。
5日放送のフジテレビ系「バイキング」においてMCを務める坂上忍氏は
「ボクはちょっと気になるのはね。誠意を感じられない、パワハラを認めていないというのはまだ、分かるんだけど、塚原夫妻が協会に残る可能性があるって、本人の意志かどうかは別としてですよ、冷静に見て一介の選手が協会の副会長なり強化本部長をパワハラを受けたからといって、これ除名を求めているようなものなわけじゃないですか?ここまで言っちゃうって得あるの?って思っちゃう」と疑問を投げかけた。
さらに「山口さんが担当弁護で入っているとは思うんですけど、ここまで挑戦的に言っていいの」とし「ここまで大騒ぎになるとパワハラあったかなかったか。暴力があったか、なかったか。その事実も大事なんだけど、印象というかそういったものもどこかで頭に入れておかないとっていう気がボクはしちゃう」と示した。
(Yahooニュースより引用)
とコメントしています。
これは通常のパワハラ問題でもそうですが、本来、事件発覚後にパワハラの被害者のそばにパワハラの加害者をおいておくのはいかがなものかと思います。
特に強い権限を持った加害者の場合、被害者に対して報復を企てることも計算に入れる必要があります。
それでなくてもメディアと利用して塚原夫妻の援護射撃をする関係者もいるくらいですから、今後のためにもしっかりと楔を打つ必要があると宮川選手サイドが判断したのではないでしょうか。
仮にこのような問題に企業内で直面した場合、企業の対応方法は大きく分けて2通りです。
1つは前述の通り、事件発覚後はパワハラの加害者がパワハラの被害者に近寄れないよう配置換えなどの配慮をする対応。
もう1つは会社側が被害届は受理しても、パワハラの加害者には何もしないし伝えない、もしくは伝えてもそれ以外は何もしないという対応です。
当然のことながら「パワハラの加害者には何もしないし、伝えない」場合はパワハラは継続されます。
そして、「被害届は受理しても、パワハラの加害者には伝えない、もしくは伝えてもそれ以外は何もしない」としたら次に起こる可能性が高いのは加害者からの報復です。
いずれにしてもハラスメントは続くことになります。
被害者側がパワハラに直面したときの選択肢は2つ。
一つは「逃げる」。
もう一つは「どちらかが倒れるまで戦う」です。
企業で起こるパワハラの場合は一般的に「逃げる」を取った方が被害が少なくて済みます。
裁判を起こす場合、金銭的な問題や証拠集めなど被害者側には大きな負担が待ち構えています。
それならば、その悪烈な環境から離れてしまえばよいわけです。
「自分が倒れるリスク」を背負う必要はありません。
しかし、宮川選手の場合は少し事情が違います。
彼女にとっては体操が全てです。
現在の彼女は体操を取り上げられたら何も残らないと感じるのではないでしょうか。
それだけでなく、コーチを取り上げられ、家族を「宗教みたい」と侮辱されて、帰る場所する取り上げられそうになっています。
ここまで来れば
「どちらかが倒れるまで戦う」
を選択するのは必然というべきではないでしょうか。
となれば、
「塚原夫妻が協会に残る可能性がある」
は何があっても阻止したいというのが宮川選手サイドの希望だと考えます。
まとめ
宮川選手サイドが直接謝罪を拒否した3つの理由は一般社会で起きているパワハラ問題でも抑えておきたいポイントだと思います。
大事なことは、
「再発を防ぐにはどうすれがよいか」
ということ。
2度、3度と同じような被害が出てはいけません。
今回の宮川選手サイドの判断は
「再発を防ぐ」
というポイントを押さえての判断だと思います。
宮川選手のパワハラ問題は第三者委員会の設置等で日本体操協会も早期解決を目指しているようです。
覚悟を決めて臨んだ宮川選手にとって安心して体操に取り組める環境が手に入るといいですね。
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