ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑京都大特別教授。
本庶教授の受賞はがん患者にとって希望の光となったのではないでしょうか。
治療技術の進歩によって完治を目指せるようになりつつあるがん。
それに伴い、「がんとともに働く」ということも考える必要が出てくるのではないでしょうか。
今回はがんを患ったとき、どのように仕事や会社とかかわっていくかを調べてみました。
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がんになり “がんサバイバー” になった女性が危惧する「ビックリ退社」と「切腹退社」 : https://t.co/dFRNrsMCRr #週刊女性PRIME #乳がん #がん
— 週刊女性PRIME (@shujoprime) 2018年10月1日
がん=退職ではない!
会社勤めの方がもしがんの宣告を受けたら・・・。
たぶん「退職」の2文字が頭をよぎるのではないでしょうか。
記事にはこんなことが書かれていました。
「就労に関しては、がんと診断されて1か月以内に仕事を辞めてしまう人が2、3割いる。私は“ビックリ退社”と呼んでいます。診断に驚き、まだ治療も始まっていない段階で、仕事を辞めてしまう人も」
(Yahooニュースより引用)
がんを宣告されて驚くあまり、思考が停止して退職されてしまう方が2~3割いらっしゃるそうです。
確かに「ビックリ」して「退社」するわけですから「ビックリ退社」ですね。
しかし、そこで慌ててはいけません。
治療中に利用できる社会保障制度は、会社員のほうが手厚いのが現実。
(Yahooニュースより引用)
なのだそうです。
ここで重要なのは医師の診断結果をしっかり聞いて、吟味すること。
働きながら治療できる程度のがんなのかをしっかりと確認することです。
ちょっと考えてみてください。
落語家の三遊亭円楽さんは初期の肺がんと診断されて、10月4日に入院、復帰は10月11日に退院。
翌日には独演会で復帰するというのです。
早期にがんが発見されれば、こんなスケジュールも組めるみたいです。
しかし、問題はこの後です。
サバイバーが社会復帰をすると、体調と仕事量の調整がむずかしくなる。通院で休むことや治療の副作用の影響を、周囲に受け止めてもらえないこともあり、居づらくなって復職1年ほどで辞めてしまう人も3割近く。
(Yahooニュースより引用)
がんは術後を考える必要があります。
投薬などによる副作用により体調維持が困難になりやすく、思ったように仕事が進まないということがあるそうです。
また、上司や同僚など周囲に理解が得られない場合は居づらくなるもの。
そのため、復職しても短期間で退職してしまわれる人が3割近くおられるそうです。
そして、これを「切腹退社」と呼んでいるそうです。
つまり、がんと宣告されると合計で約半数の人が退職される計算です。
記事では
「こうならないために、復職前に人事や上司とコミュニケーションをとって、今後の治療の見通しや自分のできること、できないことを伝えて配慮してもらうことが重要です」
(Yahooニュースより引用)
と書かれているのですが、企業側はどう捉えているのでしょうか?
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企業側の準備は不十分
受け手である企業側の準備はどうなっているのでしょうか。
2017年12月2日の福井新聞の記事では
がん患者の離職が大きな問題となる中、患者が働きながら通院や負担軽減に利用できる「短時間勤務制度」や「在宅勤務制度」を整備していない主要企業がそれぞれ約70%に上ることが2日、共同通信のアンケートで分かった。
(http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/267159より引用)
とあります。
これは共同通信が行ったアンケートなのだそうです。
トヨタ自動車やパナソニックなど主要108社にアンケートを実施。
そのうち、91社の回答をから出された結果です。
いわゆる大手企業でも準備は十分にできないのがこの記事からも伝わってきます。
そうなれば、中小企業はもっと準備ができていないでしょうね。
国はがん対策基本法を定めていますが、これはあくまで努力義務。
がん患者の就労支援に取り組む一般社団法人CSRプロジェクトが今年4月に実施した調査では、中小企業経営者のおよそ6割が、がん患者の仕事と治療の両立は「無理」「難しい」と考えていることがわかりました。
(https://jinjibu.jp/keyword/detl/833/より引用)
両立困難な理由としては
「事業規模からして余裕がない」との回答が最も多く、「仕事量の調整が難しい」「がん患者をどのように処遇していいか分からない」「社会保険料などの負担が重い」と続いています。中小経営者として国などに求める支援策については、「休職している社員の社会保険料の会社負担減免」や「がん患者の就労継続に取り組む企業への助成金」などの意見がありました。
(https://jinjibu.jp/keyword/detl/833/より引用)
ということで、それを反映しているのか、全国の患者300人を対象に実施したアンケートではがんの診断後に職を失った人の割合が、
従業員500人以上 5.1%
従業員500人未満 16.8%
(数値はhttps://jinjibu.jp/keyword/detl/833/より引用、抜粋)
という結果だったそうです。
企業規模が小さくなるにつれて離職率が高まることは数字にも出ているようですね。
気を付けるべきは・・・
それでも、仕事をしなければ生活も治療も出来ないのが現実です。
少しでも離職せずに働き続けることを模索していかなければなりません。
がんサバイバーとしてどんなことに気を付けるべきなのでしょうか。
ある記事ではこんなことを呼びかけています。
患者が復職する際には、まずひと呼吸をおいて、これからの①働き方を考える上で配慮してほしいことがら(時短勤務、残業量、職務内容など)、そして、②配慮が必要な期間、③働くことへの思い(どう働いていきたいのか)の3つを整理しておくこと
(https://www.asahi.com/articles/SDI201609127028.htmlより引用)
とはいえ、個人的には同僚などの職場で働く人たちからの目に見えない攻撃をどうするのかも考慮に入れたいところです。
確かに病気療養中に仕事を肩代わりしてくれるのは職場の人たちです。
欠員分は余分に働かなければなりません。
いざ復職しても、通院や体調不良が原因で以前と同じ働きができることは稀でしょう。
そこで怖いのは職場の人たちのストレスのはけ口になる可能性が出てくるということです。
特に「ブラック企業」といわれる職場に籍を置いておられる方はそちらの対策を十分にしておかなければ、がん以外の病気まで発症しかねませんからね。
まとめ
「がんを患ったから退職」は今や昔の話。
これからはがんを患っても仕事を続けることはできますし、続けていかなければなりません。
しかし、だからといって無理をする必要はないと思います。
「出来ないこと」ではなくて、「出来ること」を伝えて、折り合いがつかないと感じる瞬間までは「退職」を口にしないことが、これからは重要になってくるような気がします。
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